
コラム
災害時に”会社と社員を守る”ための備え
9月1日は「防災の日」。1923年9月1日に関東大震災が発生したことに対する教訓や、立春から数えて210日にあたる「二百十日」は古くから台風の襲来が多い時期とされていたことなどから制定され、毎年この時期には企業や自治体で防災訓練が行われています。日本は地震・台風・豪雨などの自然災害が多い国です。万が一の災害時、会社と社員を守るための準備は経営リスク管理の重要な一部です。
安全配慮義務の理解と実践
労働契約法第5条では、企業には「従業員の安全を確保する義務」が課されています。災害発生時に適切な行動を取るためには、平常時の準備が欠かせません。
<具体的な取組例>
・避難経路、避難場所を全社員に周知
・避難訓練を定期的に実施
・災害発生時の行動マニュアルを策定
安否確認と連絡体制の整備
社員の安否確認や緊急連絡は災害時の最優先事項です。
<整備しておきたい仕組み>
・社員連絡網や安否確認アプリの導入
・安否報告ルール(例:SMS・チャット・専用アプリの併用)
・担当者、責任者を明確化した体制図
勤務対応ルールの明確化
災害発生時の勤務対応について、あらかじめ就業規則や社内ルールで明文化しておくことが重要です。
<整備例>
・出社困難時の在宅勤務、休業扱いの基準
・通勤途中の災害と業務災害の範囲
・災害時の休暇取得制度(特別休暇、有給休暇の活用)
BCP(事業継続計画)の策定
災害が発生しても事業を継続・早期再開できる体制づくりが求められます。
・重要業務、人員の洗い出し
・代替勤務体制(テレワークやシフト再編)の整備
・人事労務手続き(賃金支払い、社会保険手続き等)の緊急対応マニュアル化
現場で役立つ”即実践”チェックリスト
・飲料水、保存食、医薬品の備蓄は3日分以上確保しているか
・オフィスの家具、機材の転倒防止対策はされているか
・緊急時の避難場所、連絡先を全社員が把握しているか
・災害時に利用できるテレワーク環境が整っているか
災害時の労災対応
仕事中に発生した地震や津波、台風などにより被災した場合、基本的には労災の対象とはなりません。ただし、事業所の立地条件や作業条件・作業環境などにより天災地変に際して災害を被りやすい業務の事情があるときは、労災の対象と認められる可能性があります。このことからも、災害時は事実関係を正確に記録し報告することが重要です。
まとめ
防災対策は「備えあれば憂いなし」です。平時に体制を整えておくことで、非常時の混乱を最小限に抑え、社員の命と会社の事業を守ることができます。防災の日をきっかけに、自社の災害対策を改めて点検してみてはいかがでしょうか。