コラム
職場の熱中症対策は万全ですか? 企業に求められる安全配慮義務と今夏の実務対応
職場の熱中症対策は「命を守る」企業の重要な責任です
夏本番を迎えるこれからの時期、企業にとって欠かせない労務管理の一つが「職場の熱中症対策」です。気象庁によると、令和8年(2026年)夏の気温は、平年よりも高くなるという確率が50%~60%と予測しています(https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/)。
近年は猛暑日が続くことが多く、建設業や製造業、運送業のみならず営業職や介護職、警備業など屋外・高温環境で働く多くの職場で熱中症リスクが高まっています。熱中症は従業員の健康被害だけでなく、労働災害や企業の安全配慮義務違反につながる可能性もあります。企業には、従業員が安心して働ける環境を整えることが強く求められています。
熱中症対策は「水分補給」だけでは不十分
「こまめな水分補給を呼び掛けているから大丈夫」と考えている企業も多いことでしょう。しかし、現在求められている熱中症対策は、それだけでは十分とは言えなくなってきています。具体的には、次のような取り組みが必要となっています。
- ・暑さ指数計などを活用した作業環境の確認
- ・定期的な休憩時間・休憩場所の確保
- ・水分・塩分補給の徹底
- ・空調服や冷却グッズなどの活用
- ・熱中症予防のための情報を従業員へ教育・周知
- ・緊急時の連絡体制や搬送手順の整備
これらを組織的に実施することで、重症化を防ぎ安心して働ける職場づくりにつながります。
中小企業こそ「事前準備」が重要
熱中症は、突然発症するケースが多く「まさか自社で?」という油断が重大事故につながることもあります。特に中小企業では、一人ひとりが担う業務の幅が広く、人員にも余裕がないため従業員が体調不良を訴えにくいケースもあるのではないでしょうか。だからこそ、
- ・誰が現場責任者なのか
- ・体調不良の時はどのように対応するのか
- ・救急要請の判断
- ・緊急連絡先
などを、あらかじめ決めておくことが重要です。また、新入社員や高齢の従業員、暑さに慣れていない従業員は特に注意が必要です。日ごろから体調管理を行い「無理をさせない職場風土」をつくることも熱中症予防につながります。
安全配慮義務は企業の信頼にも直結します
従業員の健康を守ることは法律上の義務であるだけでなく、企業の信頼や人材確保にも大きく影響します。「社員を大切にする会社」は採用活動や人材定着の面でも高く評価されます。一方で、熱中症事故が発生すると労災対応や業務停止、企業のイメージ低下など経営への影響は決して小さくありません。今一度、自社の熱中症対策を見直し、現場で実践できる体制になっているか確認してみてはいかがでしょうか?
※厚生労働省HP参照 熱中症予防のための情報・資料サイト | 厚生労働省