
コラム
10月スタート!「教育訓練休暇給付金」と企業に求められる準備
令和7年10月から「教育訓練休暇給付金」制度が始まります。在職中の従業員が離職することなく、教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、失業給付(基本手当)に相当する給付金を支給する仕組みです。従業員のキャリア形成支援と企業の人材戦略に直結するものです。
制度の概要
給付の対象となるのは、雇用保険の一般被保険者で、会社の就業規則などに基づき連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取得するケースです。休暇の目的は、技能や知識を高めるための教育訓練。給付金額は原則として失業給付(基本手当)と同様に計算され、休暇開始前の6か月の賃金を基準に日額が算定されます。受給可能日数は被保険者期間に応じて、90日・120日・150日のいずれかです。休暇開始から1年以内に利用することができます。
企業に求められる対応
給付を受けるには、会社側で「教育訓練休暇制度」が規程化されていることが前提です。従業員が申請しても、就業規則に定めがなければ利用できません。そのため次の準備をしておくことが重要です。
・就業規則の整備
教育訓練休暇の目的・対象・申請方法・承認手続き・無給の取扱いを明文化しましょう。
・申請フローと担当窓口の明確化
従業員からの申し出を誰が受け、どのように承認し、ハローワークへ必要書類を提出するのかを整理する必要があります。
・管理職や現場への周知
長期休暇により業務がどう調整されるのか、復職後の支援をどうするのかを含めて、現場の理解を得ることが大切です。
制度をチャンスに変える
「無給休暇を与えるのは会社の負担になるのではないか?」と懸念される経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この制度は単なる福利厚生ではなく、従業員のスキルアップ・資格取得を後押しすることで、企業の競争力強化や人材定着につながる投資でもあります。例えば、IT資格や語学、マネジメントなどの教育訓練を受けた従業員が復帰後に力を発揮すれば、組織全体のパフォーマンス向上につながるチャンスでもあります。
まとめ
教育訓練休暇給付金を活用するためには、まず会社の制度設計と就業規則の見直しが欠かせません。従業員が安心して学びなおしに挑戦できる環境を整えることは、結果的に企業の持続的な成長に直結します。制度を「人材投資のチャンス」と捉えて、ぜひ前向きな準備を進めていきましょう。